わがままな使い魔のせいで、恋と穴に落ちました・・・という魔女のお話
「どうしたの・・?」

イーディスがめちゃくちゃ落ち込んでいるのを、初めて見た。

立膝をして、顔を埋めているので、背中は丸まり、いつもの尊大さが見当たらない。

「・・ミエルが俺でなく・・あいつを選んだ・・」

「あいつって?」

「グスタフ皇国の皇太子さまだよ。アンバー!」

イーディスは、やっとクラリスのほうに、うらめしそうな顔を向けたが、すぐに顔を埋めた。

「だって、ミエルはアンバーの使い魔なのだから、しょうがないじゃない」

「アンバーは、ミエルを大切に扱っていない。むしろ、邪魔者扱いだ!」

クラリスは彼の側に座った。

「まぁ、あんたも主人を大切に扱っていないわよね。同じじゃない。私は別にかまわないけど」

イーディスの目が、強い光を放った。

「あいつらは、エルフの心臓を握っている!
恐怖で、無理やり従うようにさせている!許せない!!」

イーディスがこんなに素直に、感情を出すのは本当に珍しい。

「イーディス、ミエルの事が好きなのね・・」

むむむむ・・・やはり、小さくても女の感は鋭い。

イーディスは、顔を手で覆った。
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