わがままな使い魔のせいで、恋と穴に落ちました・・・という魔女のお話
「アンバーの胸ぐらを掴んでしまった。その時、ミエルはアンバーをかばったんだ。
もう・・ミエルに二度と会うことはできない・・俺には絶望しか残されていないのだ・・」

彼は静かに泣いている。

「イーディス!」

クラリスは彼の肩を抱いた。

クラリスは、少し間を置いて聞いた。

「あんたの力なら、ミエルをさらうことぐらいできるでしょ」

イーディスは力なく答えた。

「無理な相談だ。その時点で、ミエルの心臓はつぶされてしまう。
そんなことはできない・・」

クラリスは励ましたいと思った。

「ねぇ、私たちは仮契約だけど、困った時はお互い助け合う関係でもあるよね。
私に何ができるかな。」

クラリスはハンカチをポケットから出し、イーディスに渡した。

「主人が自分の意志で、心臓を返せば、ミエルは自由になれる。
アンバーの気持ちでどうにでもなる・・・が、俺はあいつを怒らせたんだ・・」

「私がアンバーを、説得すればいいのかな」

イーディスは、ちらっとクラリスを見た。

「それしかない・・と思う。主人同士で話をつけられれば、一番確実だ。」

クラリスの視線は、遠くの平野に向かった。

「私もアンバーを結構、怒らせちゃっているし・・できるかな」

「期待はしてないよ・・」

イーディスは力なく答えた。

でも、いつもの皮肉屋の感じが戻っているので、何か、思いついたのかもしれない。

「期待をしていないけど・・・」

もう一度、イーディスが言った。
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