わがままな使い魔のせいで、恋と穴に落ちました・・・という魔女のお話

交流会6日目

<交流会6日目>

最後の種目は、オリエンテーリング競技。

二人一組で3チームが競うもので、男女の組み合わせになる。

将来の縁組も視野に入れているのだろう、お互いの性格や相性、判断力やリーダーシップが見られる。

グスタフ皇国の森と、小高い山が会場になっており、色々な場所に、指示書が隠されている。

それを手に入れ、指示書どおりの行動をすることが要求されるのだ。

しかも制限時間がある。

この競技は、自国の土地を知り尽くしているアンバーが一番有利だ。

最も不利な条件の国の代表と、組まされるに違いない。

A国の女の子はまだ幼い・・・
だが・・・アンバーは嫌な予感がした。

係の召使が、組合せ表を石壁に貼りだした。

「グスタフ皇国・アンバー様と、魔女の国・クラリス様」


あの、まったくやる気のないクラリスと組むなんて!!気まずすぎるだろう。

アンバーは、すぐに気持ちを切り替えた。

クラリスは競技が始まれば、勝手にどこかに行くはずだ。

自分の領地なのだから、一人のほうが判断を早くできるし、さっさと終わりにできる。

係が30分ごとに時間をずらして、ペアの代表を呼びだすと出発させていく。

最後まで残ったのが、クラリスとアンバーだった。

「グスタフ皇国、アンバー様と魔女の国、クラリス様、ご出発の準備を!」

アンバーはもう一度、リュックに入っている持ち物を点検した。

山に入る可能性もある。
登山靴と手袋、水と簡易食料、ナイフ、山の天候はいきなり変わるからマントも必要だ。

それぞれの使い魔は、ゴール地点で待機をする。

主人に何かあった時は、すぐに出動できるようにしておくのだ。

ミエルは、アンバーの姿を見るとうつむいてしまった。

イーディスの姿はなく、クラリスはポツンと一人で立っている。

しかも手ぶらで、なんの準備もしていないようだ。

グスタフ皇国の山をなめるな、アンバーは言いたかったが、口を閉じた。

クラリスは、すぐにいなくなるだろうから。
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