わがままな使い魔のせいで、恋と穴に落ちました・・・という魔女のお話

穴に落ちてしまった!

走り始めたアンバーの足を、つる草が絡めとった。

クラリスも、崩れ落ちるアンバーを支えようと手を伸ばした。

その瞬間、二人は穴に落っこちた。

「いたぁい!!」

アンバーがかろうじてクッションになったが、クラリスが思わず叫んだ。

「クラリス?!大丈夫か?」

「たぶん・・平気」

アンバーが上を見ると、空が丸く切り取られたように見える。

どうやらこの穴は、深い枯れ井戸のようだ。

アンバーは、壁の土塊に指をはわせた。

「これって登れるだろうか・・」

「すごくもろいし、ここまで深いと無理ね。
でも、ミエルかイーディスが、異変に気づけば、すぐ探すと思う」

アンバーは山の準備をしておいて、良かったと思った。

取りあえずナイフと食料はあるから、一晩くらいは何とかなる。

「体力を温存しておいた方がいい」

「そうね」

クラリスも上を見上げた。

山の日の入りは早く、すでに陰ってきている。

この穴の狭さでは、火を焚くことも無理だ。

日が陰れば、急速に冷え込むだろう。

クラリスは穴底に落ちている枯れ枝を、拾い集め、ポケットから髪をしばるための紐をとりだした。

「何をしているんだ?」
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