わがままな使い魔のせいで、恋と穴に落ちました・・・という魔女のお話
「その、嫌かもしれないけど、こうするしか、方法が思いつかない・・・」

クラリスはアンバーの隣に座り込み、体をぴったりとつけた。

そして、毛布をかぶるように、マントでくるむようにした。

アンバーの腕にクラリスの体温が伝わる。

「あの・・・あんたの腕が邪魔なんだけど・・・」

「え・?どうしたら・・」

「まったく・・もうっ!」

クラリスはアンバーの腕を取って、自分の肩にまわした。

「こうして、寒さをしのぐ・・・あとは待つしかないわ」

アンバーは顔をそむけた。

赤くなっているのを、クラリスに見られたくないと思ったからだ。

腕の中のクラリスの肩は思っていたより、ずっと華奢で小さい。

暗さを増していく穴のなかで、ぼんやりとした明かりが唯一の希望のように感じた。

何か話していないと不安だし、世界には二人しかいないように感じる。

何でもいい。 

アンバーは口を開いた。

「君はなんで、あの時、父上の絵を描いていたんだ?」

クラリスは一瞬<見ていたのか>という表情をしたが、すぐに答えた。


「あれは皇帝陛下ではないわ」

「え・・?」
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