わがままな使い魔のせいで、恋と穴に落ちました・・・という魔女のお話

クラリスの告白

クラリスは地面に落ちていた小枝で、絵を描くようになぞった。

「月に一度、薬草リキュールの密売があるの。グスタフ皇国との境でね。

お母さまも必ずその場所に行くの。トラブルが起きないように見守りを兼ねてね。

何かあったら、すぐに道を閉じなくてはならないから」

クラリスはポケットから、小さなハンカチの包みを取り出した。

「毎回来る商人がいるの。
その人は皇帝陛下によく似ているわ。身なりは金持ちっぽいけど」

グスタフ皇国の人は、結構似た感じが多いでしょ?」

「確かに・・」

多くは髪が黒か茶系で、がっしりとした体躯をしている。

アンバーはうなずいた。

「お母さまの目が、その人を追っているの。
その商人は、毎回薬草リキュールを買ってすぐ帰るから。話も何もしないけど」

「たぶん、お母さまはその人が・・好きなのか・・好みのタイプなのか」

「君のお母さまって、エリーゼ・グランビア?」

「ええ、そうよ」

アンバーは、やっとパズルが解けたと思った。

その商人は父上で、毎月、薬草リキュールを買うためではなく、クラリスの母親に会いに行くのが目的なのか?
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