わがままな使い魔のせいで、恋と穴に落ちました・・・という魔女のお話
クラリスはハンカチの包みを開いた。

クッキーが4枚ある。

「半分、どうぞ。私が焼いたの。ハーブ入りだから、好きかどうかわからないけど。
私はこれがお気に入りなの。」

アンバーは、勧められたクッキーを2枚取った。

そして聞いた。確かめなくては。

「・・ありがとう。・・その、聞いていいかな。
君のお母さまってどんな人?」

「そうね、すごくきれいなのに・・・
外に出る時はなんで、あんなババァになるのかって、思うくらい見事に姿を変えるわ。」

クラリスはクッキーをかじったので、ハーブの香りが広がった。

「お母さまは、いつも不幸そうに見える。
国を統治するのは大変なの。

4つの魔女の家系を抑え込むのもね。
みんな仲が悪いし、100年前の恨み話を蒸し返すし。」

「だから、お母さまには・・その商人が好きならね。
片思いではなくて、幸福になってほしい。
でも、その商人はババァなんて相手にしないだろうから・・無理な話だけど」

「・・・そうなんだ」

アンバーもクッキーをかじった。

ハーブの香りは、薬草リキュールを思い出させる。

父上は、まったく気が付いていないのだろう。

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