わがままな使い魔のせいで、恋と穴に落ちました・・・という魔女のお話
たぶん・・・クラリスの母親と会っていることに。

「その、なぜ、魔女の国はみんな、外では老婆に姿を変えるのかな・・」

クラリスもきっと成人になれば、誰よりも美しくなるだろうに・・・

「きっと、秘密主義なんだわ。自分の手の内をみせたくないってやつ。
ババァになっとけば、みんな相手にしないじゃない。

その時に、相手の弱みとか、いろいろ観察できるってやつ。
考えようによっては陰険だわね。
まぁ、魔女だから・・・」


アンバーは聞いた。

「君は、次のグランビア家の当主になるんだろう。」

「ならない・・・」

クラリスのルビーの瞳は暗い。

「不幸になるのは目にみえているから、お母さまが<もういい>って言ってくれたの。
成人式を終えたら、すぐに魔女の国を出て自由にしなさいって。

ただ、この交流会は、なんとかしなくてはならないから」

アンバーは戸惑った。

「不幸な当主に統治される国民も、不幸だと思わない?」

そう言って、クラリスは自分の膝に顔を埋めた。

クラリスの背負っているもの、自分が背負っているもの、それぞれに重いのはわかる。
< 38 / 56 >

この作品をシェア

pagetop