わがままな使い魔のせいで、恋と穴に落ちました・・・という魔女のお話
あの時、イーディスと言い争いをした時、よく殺されなかったかと。

ミエルが止めに入らなかったら・・どうなっていたか

クラリスは自分の膝に、強く顔を押し付けた。

アンバーは驚いてクラリスを見たが、表情はわからない。

「魔女の力がどんどん弱くなってきていて、このままだと何年か先には・・・
魔女はいなくなり、国自体も廃墟になるだろうって。

グスタフ皇国が攻め込んでくれば、イーディスとお母さまの魔力を合わせて・・・
最後の後始末で、何もかも消すつもりなの。
お花も湖も、猫も、館も・・・みんな、すべて」

クラリスは鼻をすすった。

「私には・・何もできないの・・・
そうなれば、私も消えてしまうから・・・
だから、お母さまは、国からでなさいって言うの。
でも、ひとりぼっちになるのが怖い」

でも、クラリスの悲しみは、体温を通して痛いほどに伝わる。

魔女の国の闇は深い。

明るい未来はどこにあるのだろうか。

マントの中で体をくっつけている二人は、激流に浮かぶ木の葉のように感じられる。

アンバーはクラリスの体温を感じながら、一生懸命考えていた。

クラリスをどうやったら救えるのだろう。

この悲しみと深い絶望・・どうしたら・・

「その・・君は魔法が使えるじゃないか・・・」
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