わがままな使い魔のせいで、恋と穴に落ちました・・・という魔女のお話
クラリスは満面の笑顔で、スカートのすそを少し持ち上げお辞儀をした。

「こんにちは。クラリス・グランビアです」

「アンバーが、君のことを話していたよ。それに毎晩、城にフクロウが来ているね」

皇帝は微笑むと、クラリスは真っ赤になった。

「風が冷たくなったから・・さぁ、帰りましょう。
道を閉じますので、お帰りくださいませ」

エリーゼはそう言って、クラリスの手をしっかり握った。

「クラリス。君に頼みがあるが、聞いてくれるか?」

皇帝が声をかけた。

「はい?」

皇帝はクラリスの前にひざまずき、自分のペンダントをはずした。

「君にこれを預かってもらいたい。
明日の12時にまたここに来て、私に返してくれればいい」

皇帝はクラリスの手に、グスタフ皇国の紋章の入ったペンダントを置いた。

この親子はまったく、同じだ・・クラリスは思った。

「クラリス!だめです!お断しなさい!!」

エリーゼは、悲鳴のように声をあげた。

「あの・・」

クラリスは、どうしたらいいかわからないので、困ったように母親の顔を見た。

「明日、君の都合がつかなければ、お母さまに渡せばいい。
そうすれば道は開くし、問題ないのだ」
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