わがままな使い魔のせいで、恋と穴に落ちました・・・という魔女のお話

1年後・アンバーの成人式の準備

1年後、王宮の広間で、アンバーはミエルを相手に、ダンスのレッスンに励んでいた。

明日は、成人式のパーティがあり、多くの女の子たちと踊らなくてはならない。

そして、最後に踊る相手が、婚約者として周囲に認められるという慣習がある。

「アンバー、そんなに緊張しないで、がちがちだわ」

ミエルの手を取り、腰が引いている姿が情けない。

「もっと、笑顔で楽しまなくては」

「ステップだけで、足がもつれそうで大変なんだ・・」

アンバーが息をついた。

「へたくそだな。皇太子さまは!」

イーディスが、いきなり窓から入って来た。

「おまえにミエルの相手が務まるわけがない。しかも手を握るのは許せん!」

「もうっ、イーディス、しょうがないでしょ。皇太子の務めよ。これは」

「んじゃ、見本を見せてやる。どけ!」

イーディスはアンバーを押しのけ、ミエルを奪い取るように手を取り、その腰を抱いた。

「ミエル、音楽を・・」

イーディスは、ミエルの美しさを存分に見せつけるよう、リードしている。

パチパチ・・・大きな拍手の音がした。

アンバーが振り返ると、皇帝が立っていた。

「美しいな。皆、二人に注目してしまうだろう」
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