わがままな使い魔のせいで、恋と穴に落ちました・・・という魔女のお話
ミエルは、あわてて皇帝にお辞儀をし、イーディスも軽く礼をした。

「アンバー、最後の相手はもう決めているのか?」

皇帝が聞くと、アンバーは恥ずかしくて、口ごもってしまった。

「それは・・」

「クラリスでなかったら、豚に変えてやる。」

イーディスが大声をあげると、ミエルがすかさず指をならした。

その足元には、赤毛の子犬がまとわりついて、キャンキャン鳴いている。

イーディスは子犬になっていた。

「まったく、もう、皇帝陛下、失礼いたしました」

そう言って、ミエルは子犬を抱っこすると、すぐに泣き止んだ。

「これなら、イーディスも文句は言えんな」

皇帝は苦笑した。

アンバーが子犬の頭をなでてやると、うなり声をあげたが、ミエルが抱きしめると、すぐにおとなしくなった。
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