わがままな使い魔のせいで、恋と穴に落ちました・・・という魔女のお話
クラリスと使い魔のたまご
クラリスは、ベッドに寝そべりながら、自分の部屋の隅に置かれた6番の卵を眺めていた。
そして母が言った言葉を、思い出していた。
「クラリス、あなたの使い魔にするには、新月から満月まで、この卵を温めなくてはいけないの。
あなたと絆をつくるために、これは必要なことなのですよ」
でも、どうやって・・この卵は大きいが、意外なほど軽い。
クラリスが抱えても、問題ない重さだった。
もう一度、母親の言葉を復唱した。
「その1、一緒に寝ること」
「その2・いつも持ち歩き、体の熱が伝わるようにすること」
ベッドで卵と一緒に寝ることは、辛うじてなんとかなるだろうが、持ち歩きはちょっと・・・
無理だ・・!
ポケットに入る大きさではないし、両手がふさがってしまう。
草原に出たい。
新芽が出てくるこの時期に摘まないと、毒が出てくる薬草もある。
早く、薬草リキュールの原料になる薬草を探したい。
卵を抱えたままでは探せないし、それに割れたら大変なことになる。
クラリスは寝返りを打って悩んだ末、卵に毛布と布団をすっぽりかぶせた。
「これでよし!」
そして薬草を入れるかごを持って、部屋から意気揚々と出て行った。