わがままな使い魔のせいで、恋と穴に落ちました・・・という魔女のお話

卵の孵化とクラリスの使い魔



満月の夜、クラリスは、ベッドに置いた6番の卵をポンポン叩いた。

「明日が楽しみだわ。何が出てくるのかな?かわいい使い魔だといいな」

それから、いつものように卵と一緒に眠りについた。

翌朝、クラリスは、隣に誰か寝ているのに気が付いた。

「えー?えーーーーー」

寝ているのは成人の男性!それも裸だ!!

クラリスは驚いて、部屋の隅に飛びのいた。

「あれ、君が・・?」

男がクラリスを見た。

彫刻のように端正な顔立ちだが、傲慢さを醸し出している視線だ。

クラリスもその男を見つめた。

紅い髪と、やや緑かかった黄色の瞳。

体のどこかに赤系が入るのは、グランビア家の特徴である。

使い魔もそうなのだ。

「俺はイーディスだ。君は・・クラリスだね」

クラリスは口に手をあてて、あごをかくかくしてうなずいた。

「あの・・何か着てくれる。目のやり場に困る・・」

「これは・・レディの前で失礼した・・・といってもまだガキだしな」

イーディスは軽く指を鳴らすと、次の瞬間に、蝶ネクタイとスーツ姿になった。

そして靴をはいたままで、ベッドから降りた。

布団の上を靴のまま歩くなんて・・・

クラリスは口元がゆがんだが、何も言えなかった。

「邪魔だな・・・」
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