【中編】激甘すぎる婚前同居。 〜訳アリ令嬢は染織家の盲愛に気づかない〜



「……そんなことは」

「いいえ! あなたのおかげよ! 藤乃さんは家柄もスペックもいいのだけど気難しい方だと聞いたの。野暮ったいだとか噂があるくらい……そんな人のところに幸せになれるかわからない男性の元にお嫁には出したくないもの」


 そんなことはない、と言おうと思ったのにお義母様は私の手を握りそう言った。手の温もりが意外に優しくて、胸が熱くなる。
こんなに親しげに触れられたのは初めてかも。心の中で感謝と、切なさが交錯する。

 でも、彼女たちの本心はわかる。私を「代わり」として使っているだけ。でも、それでいい。少なくとも、誰かの役に立てるんだから。


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