【中編】激甘すぎる婚前同居。 〜訳アリ令嬢は染織家の盲愛に気づかない〜



 翌日、別邸には普段なら絶対来ないようなお義母様とお嬢様が訪れていた。ドアが開く音に驚いて振り返ると、二人の優雅な姿が目に入る。心臓がどきっと鳴る。

 こんなに珍しい訪問、何か特別な意味があるのかしら。


「本当にあなたのおかげでわたくしは、結婚しなくてすみましたわ。ありがとう」


 奈津子お嬢様は上等な生地のワンピースを着ていて、ザお嬢様と言った感じだ。仕草も上品で綺麗で……旦那様方が溺愛されるのもわかる。

 彼女の笑顔を見ていると、羨ましさと、少しの嫉妬が胸に芽生える。私もこんな風に愛されたかったな……なんて思ってしまう。

 でも、そんな感情を押し隠して、微笑んだ。
 きっとこの言葉は本心だと思うし、両親から私が自分の代わりに結婚することを聞かされているんだと思う。確かまだ高校生だと聞いたし、お金持ちはどうかわからないが結婚は早いと思う。彼女の未来を守るために、私が犠牲になる。理不尽だけど、それが私の運命なのだ。



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