【中編】激甘すぎる婚前同居。 〜訳アリ令嬢は染織家の盲愛に気づかない〜
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穂貴さんと顔を合わせた翌日、旦那様がノックもせずに入ってきた。突然の音に、心臓が飛び上がりそうになる。
「え……っ旦那様?」
突然の訪問は驚いたが、なんだかとても嬉しそうだ。表情だけでわかる。これは機嫌がいい、何かいいことがあった時の顔だ。
胸の奥で、期待と不安が交錯する。
「すまない、突然来てしまって」
「あ、いえ。驚いただけで……大丈夫です」
まだ、ドキドキとしている。こんな驚くことないので本当びっくりした。それに謝っているが、頬が緩んでいる。
でも、旦那様の訪問なんて、滅多にない。いつもは使用人経由で連絡が来るのに……。