【中編】激甘すぎる婚前同居。 〜訳アリ令嬢は染織家の盲愛に気づかない〜



 植物園に着いたのは十一時過ぎのことだった。到着すると宮下さんとは別れて、中へと入る。
 緑の香りが鼻をくすぐり、心が癒される。こんな広々とした場所、別邸の小さな庭しか知らない私にとって、夢のよう。


「美宙ちゃん、お腹は空いてないかい?」

「あっ、お腹……空いたかもしれないです。藤乃さんは?」


 朝、支度があるからと早く起きて食べたのも早かったから少し空いている。お腹がなっちゃうくらい空いてるわけじゃないけど、何か食べたい気分だ。

 心の中で、恥ずかしさがこみ上げる。お腹の音が鳴ったら、どうしよう……穂貴さんに、育ちが悪いと思われないかな。


「おしゃれなものはないけど、ここのホットドッグは絶品でね……一緒に食べよう」

「ホットドック?」


 そういえば、ホットドックらしい包み袋を持ってる人結構いるな……そんなに美味しいのだろうか。それとも有名なものなのかしら? 心の中で、好奇心が芽生える。外食なんて、如月家に来てからほとんどしたことない。こんな小さな楽しみが、こんなに嬉しいなんて。


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