【中編】激甘すぎる婚前同居。 〜訳アリ令嬢は染織家の盲愛に気づかない〜
「えっと、見た目通りここは三階まであります。えっと、一階がアトリエがあります。えっと、あのデカいのが織り機。あと染め物するための鍋とコンロにシンクと作業台で……まぁ、詳しくは後で説明するね」
一階はアトリエ、二階は書斎や個室、寝室。そしてお風呂やトイレの水回りがあり、三階はキッチンとリビングとなっていて、どの階もお洒落で何だか異国情緒が感じられる。
部屋を回りながら、心が感動でいっぱいになる。こんな素敵な家、別邸の質素な部屋とは天と地ほど違う。明るい家だ。
「美宙ちゃん、どうかな気に入った?」
「とても素敵です……おうちの別邸とは比べ物にならないくらいで」
「……別邸?」
「あっ、いえ。なんでもないですっ! きょ、今日は藤乃さんお仕事はされないんですか?」
やばいやばい。心の中で、パニックになる。
別邸のことは秘密なのに……!
それに、穂貴さんに知られたくない。急に話題を変える自分が、情けない。