【中編】激甘すぎる婚前同居。 〜訳アリ令嬢は染織家の盲愛に気づかない〜
そこには彼のお母様と、この会社の社長さんで彼の弟さんがいた。お母様の笑顔が優しくて、心の緊張が少し解ける。
でも、弟さんの視線を感じて、胸がざわつく。穂貴さんの家族……彼らに受け入れてもらえるのか、不安が募る。
「お久しぶりですっ、あの、穂貴さんと一緒に住まわせていただいてるのに……ご挨拶ができなくて」
「そんなこといいのよ。穂貴くんが強引に決めちゃったんでしょ? だからいいの」
お母様は優しく微笑んでくださって、その顔が彼に似ていて安心感を覚えた。穂貴さんの優しさが、家族から来ているんだと実感して、胸が温かくなる。
でも、心の中で少し切なくなった。私にはこんな家族がいなかったから当然だけど。
そういえば、穂貴さんいつまで手を繋いでるのだろう……?恥ずかしくて、手を離したくなるのに、離したくない。この矛盾した感情が、私を混乱させていた。