【中編】激甘すぎる婚前同居。 〜訳アリ令嬢は染織家の盲愛に気づかない〜
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穂貴さんのお母様ときたのは、会社の近くにある隠れ家的な喫茶店だった。とても落ち着いている場所で、上品なお母様と雰囲気が似ていて私が浮いている気がする。店内の柔らかな照明と、静かなBGMが、心を落ち着かせるのに、同時に自分の質素な服が目立って、居心地がすこしだけ悪い。
心の中で、こんな素敵なお店にいるのは自分には不釣り合いだと感じる。
「美宙ちゃんは何が好きかしら? ここはね、ケーキ美味しいのだけど期間限定のパフェも美味しいの」
「パフェですか?」
「えぇ! それはもう、何度も食べたくなるくらいね。一緒に食べない?」
「食べたいですっ! でも、私、お金持ってきてなかったです……」
私は所持金はほとんどないけれど、でも少しならある……どうしよう……。お母様の前で、お金のことを言うのが恥ずかしくて、胸が痛む。
如月家では、いつも最小限の生活で、贅沢なんて許されなかった。まぁ、その前に外でご飯とか食べたことないんだけど。