【中編】激甘すぎる婚前同居。 〜訳アリ令嬢は染織家の盲愛に気づかない〜



「お金のことは気にしなくてもいいわよ。穂貴くんからいただいてるからね、それに家族になるんだから遠慮するのはなしよ」

「あ、ありがとうございます」

「ふふ、じゃあ頼むわね」


 注文をすると十分ほどでパフェが到着する。季節が春だからか苺を使ったパフェで、パフェグラスにはイチゴのジュレやクレープ、生いちごにピスタチオのアイスとイチゴのアイスに生いちごと生クリームチョコレートが飾られていた。そして、パフェグラスの横にある小さなグラスにはイチゴのホットチョコレートソースがあってこれは食べ進めながらかけてマリアージュを楽しむものらしい。
 見た目の華やかさに、心がわくわくする。こんな美しいデザートを食べるなんて、夢みたい。でも、お母様の視線を感じて、少し緊張する。


「いただきます」


 お互い食べる前の挨拶をすると、パフェ専用のスプーンをパフェに入れていって一口口に運んだ。


「……美味しいっ」


 それはとても甘酸っぱくて、途中でかけたホットチョコのあったかいのが相まって悶絶するほどに美味しかった。一口ごとに、喜びが胸に広がる。甘さと酸味のバランスが絶妙で、心が溶けていくような感覚。別邸では、こんな贅沢な味を知らなかった。
 穂貴さんとの生活で、少しずつ世界が広がっていくのが、嬉しくて、切ない。



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