【中編】激甘すぎる婚前同居。 〜訳アリ令嬢は染織家の盲愛に気づかない〜
「ありがとう……穂貴さん。大好きです」
思わずそう言って、穂貴さんの胸に顔を埋める。穂貴さんがぎゅっと抱きしめてくれる。心臓の音が近くて、胸が高鳴って幸せでいっぱいな気持ちになる。
「俺も、美宙ちゃんが大好きだよ」
その言葉に、心が溶けそうになる。でも、同時に――この人が私の過去を知っているなら、なぜ教えてくれないの?という問いが、胸の奥が痛くなる。
夜、ベッドで穂貴さんの腕に抱かれながら、私は決意した。もう、聞かなくちゃいけない。胸が痛くて、苦しくて、もう耐えられない。
「穂貴さん……あの、ちょっと聞いてもいいですか?」
「ん? どうしたの?」
穂貴さんが私の髪を撫でながら、優しく聞いてくれる。胸がふわふわして話すのはやめようかなという気持ちが湧き上がる。
でも、勇気を出して言わなきゃ……だめだ。
「お母様に……この前、お茶した時に言われたんです。私が……施設にいた前は、旧華族の家の子だったって」