【中編】激甘すぎる婚前同居。 〜訳アリ令嬢は染織家の盲愛に気づかない〜



「ごめん、美宙ちゃん。辛くさせた……俺はずっと探してたんだ。だけど、あの時は学生で迎えに行くまでは出来なかった」


 穂貴さんの声が震える。その言葉に秘密を隠していた理由が、ようやくわかった。この人は、私の心を守ろうとしてくれていたんだ。私の痛みを、自分の痛みのように感じて、守ろうとしてくれた。



「穂貴さん……ありがとう。私、両親のことを思い出せないけど、穂貴さんがいてくれてよかった。穂貴さんから聞くことができて嬉しい」


 穂貴さんが私の頰を優しく拭いて、唇を重ねてくる。優しくて、温かくて、涙の味が混じったキスだった。穂貴さんの手が背中を撫で、優しく抱き寄せる。

 この瞬間、過去の痛みが少しずつ癒されていく気がした。


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