【中編】激甘すぎる婚前同居。 〜訳アリ令嬢は染織家の盲愛に気づかない〜



   ***


 夕方、穂貴さんは箱根の事故現場の写真を見せてくれた。当時の新聞記事は見ただけで胸が痛くて、息が苦しい。その後に事故前に撮ったらしい家族写真を見せてくれた。


「美宙ちゃんの両親は、とても仲良しだった。君をとても大切にしていたんだよ。宝物だって言って……これは旅行の写真。君を中心に、輝いてる」


 写真を見ると、幼い私が両親に抱かれて笑っている。記憶はないのに、胸が熱くなる。ママの優しい手、パパの大きな肩――愛されていた実感が、心を優しく満たす。涙が溢れ、穂貴さんにしがみつく。
 穂貴さんが優しく抱きしめて、背中を撫でてくれる。彼の温もりが、私の痛みをすべて優しく受け止めてくれた。





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