【中編】激甘すぎる婚前同居。 〜訳アリ令嬢は染織家の盲愛に気づかない〜
「雨が降ってて……箱根の山道。パパが運転してて、ママが後ろで私を抱きしめてくれてた。対向からトラックが来て……スリップして、ぶつかって……車が崖に落ちて……ママの香りが優しくて、パパの手が大きくて、守ってくれているのに、怖くて……」
ママの香り、パパの大きな手、私を守るために最後の力を振り絞ってくれた二人。涙が止まらなくて、穂貴さんのシャツを濡らす。胸が張り裂けそうに痛いのに、同時に、愛されていたという確かな温かさが心を満たす。穂貴さんの胸に顔を埋め、穂貴さんの温もりにすがるようにしがみつく。穂貴さんの愛が、私の痛みを優しく受け止めてくれる。
「ママが『美宙、大好きよ』って……パパが『美宙は強い子だ、生きろ』って……私を抱きしめて、守ってくれて……それから、暗くなって……二人の声もきこえなくなって……」
胸が痛くて、涙が止まらないけど、穂貴さんが私の背中を優しく撫で続け、震える声で囁く。穂貴さんの声が優しくて、胸がきゅんとして、涙がさらに溢れる。
穂貴さんの瞳に涙が浮かんでいて、心が引き裂かれるほど愛おしい。この人が、私の痛みを自分の痛みのように感じてくれていることが嬉しい。