僕と影と猫娘
 ……次に僕が猫娘に会ったのは、小学生になってからだった。

 入学して一月くらい経ってから、通学路の途中をちょっとだけ回り道して空き地に寄ったのだ。

 木の後ろを覗いたら、いた。


「またあえた!」


 その子は僕に気づくなり、前と同じように飛びついた。

 僕はそのまま後ろに倒れたけど、嬉しくて女の子を抱きしめた。


「ごめんね、来られなくて」

「さびしかった!」

「なんか、しゃべるの上手になったね」

「れんしうした! にんげんと、おともだちなれるように」

「ありがとう。嬉しい」


 こうして僕は、また猫娘と遊ぶようになった。

 ほとんど毎日空き地で遊んだ。

 帰りが遅いと心配されるから、家にランドセルを置いて、宿題をしてから空き地に通うようになった。

 小学校の友達も空き地に来たから、母さんが迎えに来ても何も言われなかったし、


「僕の幼稚園からの友達」


 と言えば、他の子も猫娘と一緒に遊ぶようになった。

 ……僕が四年生になったあの日まで。


< 3 / 6 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop