(悩める)リケジョの白井さんと(気ままな)リケダンの日高くん
びゅうびゅうと強風が吹き付けるテラス窓をみながら、日高くんは自慢げにいう。映画から仕入れた情報であった。
「ふうん、そうなんだ。初耳~」
四時間目に授業そっちのけで窓外を私は観察していた。これが春一番ならやっと温かくなる、なんて思いながら。まるでそれを知っているかのような日高くんの話題転換だ。
「春一番はないけど、代わりに雨一番っていうのがあるんだ」
「雨一番?」
「雪の混ざっていない水だけの雨のことらしい。この雨が降ると春なんだ」
ところ変われば、春を告げる気象条件が変わる。「春一番」なんて全国共通とばかりに思い込んでいたから、目からうろだった。
「映像関係っていっても、専門学校もあるし、大学も演劇学科という手もある。音響関係に目を向ければ、音声学科もアリだ。どこを攻めれば一番映画に近いところにいけるのか、調査中。親は文学部とか法学部あたりに身を置いて、サブ活動で劇団に参加すればというんだけどね。最終学歴は大卒にしてほしいってことなんだろうけれど」
話が再び、進路に戻る。
こんなふうに熱心に話すところをみると、彼もまだ進路に理解が得られていない迷える受験生なのかもしれない。理解者をひとりでも増やすことで、己の不安を払いのけたいのかもしれない。
(学生なんて、最終的には親の意向に従わざるを得ないよね)
「ふうん、そうなんだ。初耳~」
四時間目に授業そっちのけで窓外を私は観察していた。これが春一番ならやっと温かくなる、なんて思いながら。まるでそれを知っているかのような日高くんの話題転換だ。
「春一番はないけど、代わりに雨一番っていうのがあるんだ」
「雨一番?」
「雪の混ざっていない水だけの雨のことらしい。この雨が降ると春なんだ」
ところ変われば、春を告げる気象条件が変わる。「春一番」なんて全国共通とばかりに思い込んでいたから、目からうろだった。
「映像関係っていっても、専門学校もあるし、大学も演劇学科という手もある。音響関係に目を向ければ、音声学科もアリだ。どこを攻めれば一番映画に近いところにいけるのか、調査中。親は文学部とか法学部あたりに身を置いて、サブ活動で劇団に参加すればというんだけどね。最終学歴は大卒にしてほしいってことなんだろうけれど」
話が再び、進路に戻る。
こんなふうに熱心に話すところをみると、彼もまだ進路に理解が得られていない迷える受験生なのかもしれない。理解者をひとりでも増やすことで、己の不安を払いのけたいのかもしれない。
(学生なんて、最終的には親の意向に従わざるを得ないよね)