(悩める)リケジョの白井さんと(気ままな)リケダンの日高くん
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 通常の下校時間となり、カフェを出た。これよりあとは、他校の高校生が駅にあふれ出すからだ。
 別に後ろめたいことをしているわけではない。ただパフェを食べただけ。だけど相手に迷惑をかけてしまう、お互いがそんな気遣いをしたのだった。
 ひとりいつものバスに乗って、先のパフェ懇談会を思い出す。
 よくよく話をきけば、日高くんは昔から映画が好きだという。
 理系と関係ないじゃんといえば、数学がマシな点を取れるからそうしたまでという。彼の中で文理選択に意味はなかった。
 とにかく日高くんは、映画とかかわりあうことのできる職種に就きたいと熱弁する。今のところ、映像学科のある大学を考えていた。
 迷っているといいながらも、日高くんは具合的な大学が見つかっていないだけだ。しっかりしているなと、私は思う。どの向きでも方向転換できるからという理由だけで理系を選んだ私とは集中の仕方が違う。

 そういえば、こんなこともいっていた。
 「春一番ってさ、北海道にはないんだぜ」
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