(悩める)リケジョの白井さんと(気ままな)リケダンの日高くん
 卒業アルバム編集委員――卒業学年ならではの委員であった。
 これについては、いろいろな噂がある。
 一般的なクラス集合写真と個人写真、部活動集合写真は既定路線なのだが、各クラスにフリーのページが割り当てられる。このフリーの部分の編集が、めんどくさいのだ。
 クラスに芸術で美術選択者がいたら、問題ないだろう。だがそうでない場合、その出来栄えに……なところがある。
 そう、自分たちの好きな写真を集めたがばかりに特定の人物しか映っていないとか、逆に配慮しすぎてフリーの意味がないとか、デザイン自体が壊滅的とか云々。
 わが校は、進学校のわりにはドライに割り切っていないところがあって、この卒業アルバム委員会については好き嫌いが激しい委員会活動となっていた。

 順調に決まっていった委員なのだが、最後の最後で教室がしんとなる。委員会活動に相応しい積極的なクラスメイトはもう残っていない。
 「…………」
 アルバム委員となれば、活動は秋まで。推薦入試がはじまる前には終わる。受験という点では、内申点も稼げて都合がいい。
 集合写真は学校契約の写真館が撮るから関係ない。
 卒アル委員のメインの活動は、学園祭での写真撮影とその編集である。その学園祭というのは三年生最後のお祭りで、これをもって受験に突入する。
 「…………」
 卒業アルバムは、三年生にしかない。よって活動は他の委員会と違って、三年生だけの組織だ。
 やはり卒業アルバム委員という特性上、目立ちたがり屋が軽いノリで集まってくる。いつもの私なら、決して近づかない類のメンバーだ。
 「…………」
 各委員にあるように、この卒アル委員にもメリットがある。
 まず、学祭の仕事が比較的軽いものがあてられる。当日は写真撮影だからと、店番や受付などは免除されて自由に校内を歩き回れるのだ。撮影で失敗しないようにたくさん撮るわけなのだが、それを名目に好きな写真を撮ることだってできる。
 そう、好きな写真を、好きなだけ……

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