(悩める)リケジョの白井さんと(気ままな)リケダンの日高くん
 実は私が卒業アルバム委員を志願したのは、こっそり日高くんの写真を撮るためである。
 ストーカー女子、キモい奴といわれても、反論できない。だって、実際にそうなんだもん。
 クラス替えで同じクラスでないことに気がついた私は、ひどくショックを受けた。一緒のクラスになる確率よりも、なれない確率のほうが高いとわかっていても、彼と同じクラスになることを望んでいたのだ。

 もし、同じクラスになれたのなら……二年と同じクラスメイトのよしみで、彼と会話ができるかもしれない。それこそ進路を控えた高校三年生なのだから、あのパフェの日と同じように、いやそれよりももっと踏み込んだ話ができるかもしれない。そんなことをぼんやりと考えていた。
 でも現実は、確率の高いほうとなった。
 同じクラスになれないのなら……卒業アルバム委員になれば、それを利用して彼の近くへいくことができるのではないのかと。卒業アルバム委員活動をきいているうちに、そんなことを私は邪心したのだ。

 運命とは少々皮肉めいていて、でもどこか憎めない。
 日高くんとの接点を求める手段であった卒業アルバム委員活動なのに、もっと距離が縮んで一緒に活動できるとは!
 これなら学祭で日高くんを隠し撮りしなくてもいい。もっといいことに、卒業アルバムの委員会活動の写真で並んで写ることができる!
 これって、思いがけない高校生活最高の記念写真にならないか?

 私の邪な思いとは裏腹に、委員会活動初日が終わる。最後に、卒アル委員同士でアドレス交換をした。私のスマホの中に、連絡グループがひとつ追加したのだった。
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