(悩める)リケジョの白井さんと(気ままな)リケダンの日高くん
 「今日集まったメンバーみて思ったんだけど、理解してもらえそうなの白井さんぐらいかなぁ~って」
 「?」
 もちろん、キャパオーバーのときには男子卒アル委員にも協力をお願いする。さっき打診した。でもそれだけではやっぱり不安で、保険を増やすということで私にも協力を求めたとのこと。
 「こんなの頼めるの、去年同じクラスだった白井さんしかいないよ」
 「え? ずいぶん信頼してくれるけど、そんなのわかんないよ」
 「大丈夫。白井さんは実績があるから」
 ニコニコ顔で日高くんは、実績を強調した。


 †††


 グループ登録したのとは別のSNSのアドレスを、日高くんと交換した。なんかあったら、これで連絡するといって。
 交換してそのまま駅までふたりで並んでいくのかと思ったら、日高くんは「じゃあ、副の方に戻る」といって、学校へ引き返していった。
 ポツンと、ひとり私が残される。こんな光景、かつてなかったか? 
 気を取り直して駅に向かい、バスに乗った。そして、帰宅のバスに揺られて、また回想する。

 白井さんは実績があるから――これは、あの極秘で食べたパフェのことだ。私は仲良し四人組の誰にもそのことを話していないし、日高くんも翌日は知らん顔だった。
 そうしようと決めたわけではないのに、パフェのことはふたりの秘密となっていた。
 翌日になかったことにされて残念に思ったが、あれがこういう未来を引き寄せるなんて。
 あれか、禍を転じて福と為すというやつか?

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