(悩める)リケジョの白井さんと(気ままな)リケダンの日高くん
 そんな日高くんの進学先はが心理学部という。映画関係に進みたいといっていたけど、まったく彼が口にしていなかった学部名であれば意外な選択だと思った。

 (三年生になってから、興味が映画から人間感情のほうに向いたのかもしれない)
 (私は日高くんに触発されて、無難な選択をしてあとで後悔することにはならなかったのだけど………)
 (なんか、いいのかな?)

 私は進路不安を日高くんに打ち明けていたわけではないけれど、彼から勇気をもらっていたのは確かである。
 卒アル委員に志願したのだって、気になる日高くんのフォトがほしくって、編集委員の名にかこつけて手に入れることができると思ったから。実際は一緒に活動をして、委員会メンバー写真に並んで写ることができた。
 そうやって心のよりどころ、いやもう好きなってしまっている日高くんの進路が映画方面でないとわかれば、複雑な気持ちとなる。
 (なんか……私だけうまくいって、悪いなぁ~って)
 この罪悪感のような気持ちは、誰にもいえない。

 (今日は、どうしようかな?)

 国公立大学一次試験前の学年集会が終われば、三年生は自由登校になる。次に日高くんの姿をみたのは卒業式のときであった。だから、あっつんから彼の進学先を知って、びっくりしたのだ。

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