(悩める)リケジョの白井さんと(気ままな)リケダンの日高くん
 悶々としながら、待ち合わせ場所に到着すれば、すでに幹事役が待っていた。バラバラとメンバーが集まって、「じゃあ、店へいくよ~」と移動した。
 「あれ、隆文は?」
 「日高、今日引っ越しなんだって。間に合えば、くるって」
 卒アル委員全員が揃っていない理由がわかる。のん気な私は全員勢ぞろいすると思い込んでいた。
 (そうよね、行き先が決まっていないと来づらいわよね)
 (急な打ち上げだし、予定が入っている人だっていてもおかしくないし)
 (日高くん、いないんだ)
 バスの中で、あれだけ悩んでいたことが馬鹿らしくなってくる。
 少し残念だけど、気持ちを切り替えて、委員会活動最後の仕上げとしてお食事会を楽しむことにした。


 「白井さん、カラオケいこうよ」
 「ごめん、門限があって……」
 「あ、そうなんだ。まだ七時半だけど、親が厳しんだね」
 和気あいあいと食べ放題の店で食事をして、制限時間となって追い出される。まだまだ会は盛り上がっていて、急遽カラオケ大会が決まったのだった。
 「気にせず、楽しんできて。じゃあ、また」
 さっさと私は皆とお別れをして、駅に向かった。
 正直なところ、門限は半分本当で半分嘘。実は音痴だから、カラオケは苦手なのだ。
 ズバリいってもいいのかもしれないが、それで行き先変更となれば、良心が痛む。門限にしてしまえば、波風が立たない。実際のところ、親には食事にいくとだけしか伝えてないので、遅くまで遊びまわることは危険である。
 バスの時刻まで、どうしようかな? そんなことを思いながら、駅ビルに入ったところだった。

 「あれ? 白井さん、ひとり? どう、パフェ食べない?」
 「?」

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