(悩める)リケジョの白井さんと(気ままな)リケダンの日高くん
 「あ、すごい。ホントに映画の仕事に就くんだ!」
 自分でもビックルするくらい晴れやかな声で、私は称えた。
 「まだ学生だよ。入学もしていないし。白井さん、気が早いな」
 返す日高くんは、いたって冷静。私服姿で、ポーカーフェイスで、クールに告げるその姿が、とてもカッコいい。まさに業界人という感じだ。
 「それはそうとして、白井さんはいつ引っ越すの?」
 「?」
 ひとり勝手に感激して、すっかり先の質問を忘れていた。
 「引っ越ししないよ。一年生は本校キャンパスで、電車通学するよ」
 「え? 農学部って最初は本校なんだ。いや、それでも遠くない?」
 「うん。遠いっちゃ遠いけど、二年生から郊外のキャンパスに移動となって、そっちでは下宿する。これで一年分の下宿代の節約になるかな?」
 親が希望する医療系学部に進学しなかったから、多大な援助を求めることはできない。この通学条件で、農学部進学を認めてもらっていた。
 「ふ~ん、そうなんだ」
 ふんふんと日高くんは納得する。そして、
 「一年生は都内通学ということは、もしかしたら同じ電車に乗っていたってことがありそうだ」
 と、ここでもクールに未来を推測するのであった。


 パフェを食べ終えて、お暇乞いをする。門限はカラオケを断る口実であるが、かといって夜遅くまで出歩くことは許されていない。
 「農業女子って、なかなかいないから、白井さん、面白れぇわ」
 「珍獣枠ですか?」
 「珍獣っていっても、かわいい珍獣ね」
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