(悩める)リケジョの白井さんと(気ままな)リケダンの日高くん
 ひとまず帰宅した――特に予定はなかったのだが、慣れないことばかりで私は疲れていた。ゆかりんが遠方から電車通学していたのだが、今日一日、電車に乗っただけで、私はこの有り様だ。ゆかりん、すごないなと思ってしまう。

 (今後のことを考えると、今日知り合った人とお昼を食べてもよかったんだろうけど……)
 (なんか、でももう、サークルの勧誘がすごくって)
 (ちょっとアレ、怖いくらい)

 いろいろ難癖をつけてはいるが、要は大学生に初日に疲れ果ててしまって、私は早く帰りたかったのである。



 ガタン、ガタンと電車が揺れる。ヒールの靴が不安定であれば、肩の鞄だって重い。大きな揺れがくるたびに、バランスを失いそうになる。
 座りたかったけれど満員寸前の電車であれば、無理だった。揺れて前後左右の人にぶつからないように、手すりにつかまっていた。
 そこに、とある異種類の揺れが訪れる。電車からではなくて、鞄の中のスマホから。これは、メール着信の振動であった。

 「?」

 両親は仕事中だし、弟は春休みで遊びにいっている。大学の人とはまだ友達未満であれば、アドレスなど交換していない。
 誰だろうと思い、一応確認した。

 ――白井さん、電車乗ってる?

 (え?)

 差出人は日高くんであった。それも、二週間前に交換したばかりのアドレスからだ。
 少し悩んで、私は返信した。

 『乗ってるよ。どうして?』
 ――すごく白井さんに似た人を見つけたから。パーマ当てたんだね。かわいいね。

 (え!)

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