(悩める)リケジョの白井さんと(気ままな)リケダンの日高くん
 「白井さん」
 左から声がかけられる。振り向けば、ラフな私服姿の日高くんがいた。
 メールの差出人を目の前にして、私はこの再会が夢なのではないかと思う。だって、あまりにも都合がよすぎないか!
 「あのメール、ホントに日高くんだったんだ」
 半信半疑の口調で尋ねてしまうのは、許してほしい。都内の電車で偶然乗り合わせるかもといっていたことが、本当に起こったのだから。
 「電車を待っていたら、その電車に白井さんが乗っているのがみえたんだ。近くまでいきたかったけど、混んでて動けなかった」
 だから、彼はメールしたんだ。直接話せなくても、メールに反応すれば本人だとわかるから。
 先月の卒アル委員会の打ち上げとは別に、日高くんとパフェを食べた。その後、新しいメルアドを交換した。今そのアドレスで彼はコンタクトしてきた。彼らしい確認の仕方だなと思う。

 「今日、入学式なんだね。紺のスーツだと制服とあまり変わんないけど、髪がふんわりしていると大学生だよな~」
 今日の私の姿を冷静に評価する。
 この姿は一般的な入学式の大学生のものと思うのだけど、心理学部に進学した日高くんにはどう写っているのだろうか?
 やはり、無難なリケジョの白井さんだろうか?
 雑多な駅のホーム喧噪の中で、カッコいい普段着の日高くんと馬子にも衣裳っぽい私が向かい合っている。傍からみれば、さぞかし変な構図だろう。
 パーマをあてて帰ってきた日、家族の反応は「ふうん」であった。良くも悪くもないというところ。まぁ、大学生ならそんなものだろうと感じであった。ヘアサロンでは絶賛されていたが、家族が淡白だったから、私は容姿に自信がなかった。
 「あの、やっぱり、変かな?」
 「何が?」
 「髪」
 「ううん。ふわふわで、ゆるゆるで、かわいいけど」

 (ふわふわで、ゆるゆるで、かわいい?)

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