(悩める)リケジョの白井さんと(気ままな)リケダンの日高くん
†††
「うっ、わ! 確かにこれは、うまい!」
骨ばった手がパフェスプーンで赤いジュレを掬い、口に運ぶ。途端ににやける日高くんがいた。
同じく私も、クリームたっぷりのイチゴを頬張る。ほんのりとしたイチゴの酸味がクリームの甘さと相まって口内に広がる。口元に力が入らない。頬っぺたが落ちるとは、このことだ。
「いやぁ~、いいものを食べることができた。白井さんに感謝しかないな」
「大げさな。でも食べにきて、よかったかも」
会話もそこそこに、高校生ふたりはパフェにがっつく。昼休みの弁当からこっち何も食べていなければ、若者はとても空腹なのだ。
イチゴジュレとクリームのミルフィーユの上につやつやイチゴが山となっている新作パフェは、あっという間に腹を空かせた高校生の胃袋に収まった。
甘~いパフェのあとは、やたらと喉が渇く。これはお礼だと、日高くんがアイスティーを追加オーダーした。
「奢りっこ、なしだったのに、悪いわね」
「いいってことよ。これを知らずに、三年生になるところだった」
「それも、大げさな。五月までイチゴフェアは開催って書いてあるよ」
いやいや、それでも早く食せて感動ですと、日高くんはいう。
カフェは強風のせいか、客の入りはまばら。高校生は私と日高くんのみだ。
この光景、傍からみれば高校生カップルだ。でも、当のふたりにそんな感情は全くない。
私に、好きな人はいない。受験勉強で精一杯で、そんな余裕がないから。せいぜいスノーボーダーの推しの動画をみてときめくだけである。
「うっ、わ! 確かにこれは、うまい!」
骨ばった手がパフェスプーンで赤いジュレを掬い、口に運ぶ。途端ににやける日高くんがいた。
同じく私も、クリームたっぷりのイチゴを頬張る。ほんのりとしたイチゴの酸味がクリームの甘さと相まって口内に広がる。口元に力が入らない。頬っぺたが落ちるとは、このことだ。
「いやぁ~、いいものを食べることができた。白井さんに感謝しかないな」
「大げさな。でも食べにきて、よかったかも」
会話もそこそこに、高校生ふたりはパフェにがっつく。昼休みの弁当からこっち何も食べていなければ、若者はとても空腹なのだ。
イチゴジュレとクリームのミルフィーユの上につやつやイチゴが山となっている新作パフェは、あっという間に腹を空かせた高校生の胃袋に収まった。
甘~いパフェのあとは、やたらと喉が渇く。これはお礼だと、日高くんがアイスティーを追加オーダーした。
「奢りっこ、なしだったのに、悪いわね」
「いいってことよ。これを知らずに、三年生になるところだった」
「それも、大げさな。五月までイチゴフェアは開催って書いてあるよ」
いやいや、それでも早く食せて感動ですと、日高くんはいう。
カフェは強風のせいか、客の入りはまばら。高校生は私と日高くんのみだ。
この光景、傍からみれば高校生カップルだ。でも、当のふたりにそんな感情は全くない。
私に、好きな人はいない。受験勉強で精一杯で、そんな余裕がないから。せいぜいスノーボーダーの推しの動画をみてときめくだけである。