窓明かりの群れに揺れる
夜風が、容赦なく頬を打つ。
止まっていたはずの音が、
一気に押し寄せてくる。
車の走る音。
信号の切り替わる電子音。
遠くの笑い声。
その全部が、
自分とは関係のない世界の音に聞こえた。
「っ……」
歩きながら、
止めようとしても止められない
涙があふれ出す。
(どうして、何も言ってくれなかったの)
(あの日、キスもして、
一緒に笑って、
未来の話まで頭に浮かべて――)
(全部、勘違いだったの?)
考えれば考えるほど、
胸の奥がきしむ。
ふと、頭に浮かんだのは
直樹の顔だった。
(直樹さんなら、
何か知ってるかもしれない)
ポケットからスマホを取り出す。
震える指で連絡先を開き、
直樹の名前をタップする。
コール音がやけに長く感じられた。
『もしもし? 春奈?』
いつもよりも少し驚いた声。
「……直樹さん」
名前を呼んだ瞬間、
喉の奥がつまって言葉が出てこなくなる。
『どうした? 今どこにいる』
「……ごめんなさい、
ちょっと、外で。
今、達也さんと話して……」
うまく状況を説明できない。
それでも、途切れ途切れの言葉から、
直樹は察したようだった。
少しの沈黙のあと、
ため息にも似た息の音が聞こえる。
『……そうか、聞いたんだな』
「恵さんと……一緒になるって……
どういうことなんですか」
今度は、はっきりと訊いた。
しばらくの間、
電話の向こうから音が消える。
止まっていたはずの音が、
一気に押し寄せてくる。
車の走る音。
信号の切り替わる電子音。
遠くの笑い声。
その全部が、
自分とは関係のない世界の音に聞こえた。
「っ……」
歩きながら、
止めようとしても止められない
涙があふれ出す。
(どうして、何も言ってくれなかったの)
(あの日、キスもして、
一緒に笑って、
未来の話まで頭に浮かべて――)
(全部、勘違いだったの?)
考えれば考えるほど、
胸の奥がきしむ。
ふと、頭に浮かんだのは
直樹の顔だった。
(直樹さんなら、
何か知ってるかもしれない)
ポケットからスマホを取り出す。
震える指で連絡先を開き、
直樹の名前をタップする。
コール音がやけに長く感じられた。
『もしもし? 春奈?』
いつもよりも少し驚いた声。
「……直樹さん」
名前を呼んだ瞬間、
喉の奥がつまって言葉が出てこなくなる。
『どうした? 今どこにいる』
「……ごめんなさい、
ちょっと、外で。
今、達也さんと話して……」
うまく状況を説明できない。
それでも、途切れ途切れの言葉から、
直樹は察したようだった。
少しの沈黙のあと、
ため息にも似た息の音が聞こえる。
『……そうか、聞いたんだな』
「恵さんと……一緒になるって……
どういうことなんですか」
今度は、はっきりと訊いた。
しばらくの間、
電話の向こうから音が消える。