窓明かりの群れに揺れる
 金魚すくいの屋台の前で立ち止まり、
 二人でかき氷を買って並んで食べる。

 「ねえ、同期どう? いい人いた?」

 「うん。
  みんないい人だよ。変な人もいるけど」

 「それはそれで、ネタになるから必要」

 スプーンで氷を崩しながら、
 恵がニヤッと笑う。

 「同い年だから、話しやすいよね。
  研修のとき、ほんと助かった」

 「わかる。
  “同い年の仲間”ってだけで、
  なんか心強いよね」

 自分でそう言いながら、
 春奈は少しだけ胸の奥が
 チクリとしたのを感じた。
 (同い年、か……)

 頭の片隅に、
 十二歳年上の従兄の横顔が、
 一瞬だけ浮かぶ。

 すぐに、かき氷の冷たさで
 そのイメージを追い払うように、
 大きめのひと口を口の中に放り込んだ。

 「……頭、キーンとしない?」

 「ちょっとしたほうが、夏っぽくて好き」

 わざと軽く返して、
 気持ちの揺れをごまかす。
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