窓明かりの群れに揺れる
22.退院の知らせと、ほどけていく心
東京に戻って、数日が過ぎた。
平日の夜、
いつものように簡単な夕食を作り終えたころ、
テーブルの上のスマホが震える。
画面には「父」の文字。
「……もしもし、お父さん?」
『おう。今、大丈夫か』
いつもの少しぶっきらぼうな声に、
胸の奥がじんわり温かくなる。
『さっき退院した。
しばらく薬と通院は必要だけど、
もう大丈夫だ』
「本当に? よかった……」
安堵がどっと押し寄せて、
椅子の背にもたれかかる。
「でも無理しないでね。
ちゃんと休んで。
お母さんの言うことも聞いて」
『はいはい。
娘にまで説教されるとはな』
苦笑まじりの声。
その軽さが、逆に元気の証拠みたいで、
春奈はほっと息をついた。
電話を切ったあと、
小さなワンルームの部屋の
静けさが戻ってくる。
(よかった……本当に)
肩から大きな力が抜けたと同時に、
ここ最近の疲れが
一気に押し寄せてきた。
仕事、実家との往復、病院、
そして病院のロビーでの、
弘樹との会話――。
ぐしゃぐしゃになった感情を、
どこからほどけばいいのか
わからないまま、
春奈は両手でマグカップを包み込んだ。
平日の夜、
いつものように簡単な夕食を作り終えたころ、
テーブルの上のスマホが震える。
画面には「父」の文字。
「……もしもし、お父さん?」
『おう。今、大丈夫か』
いつもの少しぶっきらぼうな声に、
胸の奥がじんわり温かくなる。
『さっき退院した。
しばらく薬と通院は必要だけど、
もう大丈夫だ』
「本当に? よかった……」
安堵がどっと押し寄せて、
椅子の背にもたれかかる。
「でも無理しないでね。
ちゃんと休んで。
お母さんの言うことも聞いて」
『はいはい。
娘にまで説教されるとはな』
苦笑まじりの声。
その軽さが、逆に元気の証拠みたいで、
春奈はほっと息をついた。
電話を切ったあと、
小さなワンルームの部屋の
静けさが戻ってくる。
(よかった……本当に)
肩から大きな力が抜けたと同時に、
ここ最近の疲れが
一気に押し寄せてきた。
仕事、実家との往復、病院、
そして病院のロビーでの、
弘樹との会話――。
ぐしゃぐしゃになった感情を、
どこからほどけばいいのか
わからないまま、
春奈は両手でマグカップを包み込んだ。