窓明かりの群れに揺れる
最悪な状況から始まったはずなのに、
近くで聞こえる呼吸、
かすれた声でこぼれた自分の名前に、
胸の奥が一瞬だけふっとほどける。
「何やってるの、私」
戸惑いと、
それでも完全には否定できない小さな嬉しさが、
心の中でぐしゃぐしゃに混ざっていく。
どちらから近づいたのか、
どの瞬間に距離がなくなったのか――
そこから先は、酔いと疲れのせいで
輪郭がどんどんぼやけていった。
すべての時間が止まったような、
深く沈んでゆく心地よさに
視界の端で、
天井の明かりがかすんでいく。
絡まったシーツの感触と、
どこまでが自分で、
どこからが相手なのか
わからなくなるほど近くにあった体温。
抱きとめようとしたのか、
支えられたのか――
その境目さえも曖昧なまま、
ほんの一瞬だけ、
全てを委ねてしまったような、
深く満たされる気持ち。
近すぎる距離で交わる息づかい。
「……いっ」
ふいに力が強くなって、
思わずシーツを掴む。
名前を呼ぼうとしても声にならず、
喉の奥で熱だけが震えた。
「……うっ」
ひとつひとつの動きが、容赦なく、
おく深く入り込んでくる。
それを喜んではいけない気がする
戸惑いが、胸の奥でせめぎ合う。
からだの内側から広がる熱さと
ゆっくりと溶けていく心地よさが、
からだの奥底に、
いつまでも残っていた。
完全には否定しきれなかった
自分の感情ごと、
その夜の記憶は、
少しずつ、ゆっくりと薄れていった。
近くで聞こえる呼吸、
かすれた声でこぼれた自分の名前に、
胸の奥が一瞬だけふっとほどける。
「何やってるの、私」
戸惑いと、
それでも完全には否定できない小さな嬉しさが、
心の中でぐしゃぐしゃに混ざっていく。
どちらから近づいたのか、
どの瞬間に距離がなくなったのか――
そこから先は、酔いと疲れのせいで
輪郭がどんどんぼやけていった。
すべての時間が止まったような、
深く沈んでゆく心地よさに
視界の端で、
天井の明かりがかすんでいく。
絡まったシーツの感触と、
どこまでが自分で、
どこからが相手なのか
わからなくなるほど近くにあった体温。
抱きとめようとしたのか、
支えられたのか――
その境目さえも曖昧なまま、
ほんの一瞬だけ、
全てを委ねてしまったような、
深く満たされる気持ち。
近すぎる距離で交わる息づかい。
「……いっ」
ふいに力が強くなって、
思わずシーツを掴む。
名前を呼ぼうとしても声にならず、
喉の奥で熱だけが震えた。
「……うっ」
ひとつひとつの動きが、容赦なく、
おく深く入り込んでくる。
それを喜んではいけない気がする
戸惑いが、胸の奥でせめぎ合う。
からだの内側から広がる熱さと
ゆっくりと溶けていく心地よさが、
からだの奥底に、
いつまでも残っていた。
完全には否定しきれなかった
自分の感情ごと、
その夜の記憶は、
少しずつ、ゆっくりと薄れていった。