窓明かりの群れに揺れる
第5章
27.崩れていく信頼
翌日
朝のオフィスは、
いつも通りのざわめきに満ちている
はずなのに、
春奈にはどこか薄い膜が張ったように
感じられた。
「……おはようございます」
自分でも少し力のない声で挨拶すると、
斜め前の席から達也が顔を上げる。
「ああ……おはよう」
返事は返ってくる。
けれど、その顔色はひどく悪かった。
目の下にうっすらとクマが浮かび、
いつもの軽さも冗談っぽさも、
影を潜めている。
(……やっぱり、相当こたえてるんだ)
昨日の決定。
自分の案が通らなかった悔しさ。
プライドの傷。
そういったものが全部、
顔に滲み出ているように見えた。
「恵、おはよう」
近くを通りかかった恵にも声をかける。
「あ、春奈。おはよ」
挨拶はいつも通りなのに、
どこかぎこちない笑顔。
メイクの下に隠しきれていない
疲れが見える。
(ふたりとも、なんだか……)
胸の奥に、
小さな違和感だけが沈んでいった。
朝のオフィスは、
いつも通りのざわめきに満ちている
はずなのに、
春奈にはどこか薄い膜が張ったように
感じられた。
「……おはようございます」
自分でも少し力のない声で挨拶すると、
斜め前の席から達也が顔を上げる。
「ああ……おはよう」
返事は返ってくる。
けれど、その顔色はひどく悪かった。
目の下にうっすらとクマが浮かび、
いつもの軽さも冗談っぽさも、
影を潜めている。
(……やっぱり、相当こたえてるんだ)
昨日の決定。
自分の案が通らなかった悔しさ。
プライドの傷。
そういったものが全部、
顔に滲み出ているように見えた。
「恵、おはよう」
近くを通りかかった恵にも声をかける。
「あ、春奈。おはよ」
挨拶はいつも通りなのに、
どこかぎこちない笑顔。
メイクの下に隠しきれていない
疲れが見える。
(ふたりとも、なんだか……)
胸の奥に、
小さな違和感だけが沈んでいった。