窓明かりの群れに揺れる
店を出る頃には、
達也はほとんど足元が
おぼつかなくなっていた。
「だいじょぶ?」
「……よゆー……」
よくないことくらい、恵にもわかる。
それでも、
腕を肩に回しながら歩かせるようにして、
通りに出たところでタクシーを止めた。
「ほら、乗って」
「お、おう……」
達也をほとんど抱きかかえるようにして、
後部座席に押し込む。
ドアが閉まるのを確認してから、
恵は運転手に小さな声で告げた。
「すみません、
この辺のホテル街までお願いします」
達也の意識は、
半分以上アルコールの底に沈んでいた。
けれど、
窓の外で流れていくネオンを
ぼんやり眺めながら、
(……ああ、まただよ)
そのくらいのことだけは、
おぼろげに理解していた。
部屋のドアが閉まる瞬間までの道のりを、
彼はきっと、
あとからほとんど覚えていない。
ただ、
恵のほうは――
そこから先のすべてを、選ぶように進んでいった。
達也はほとんど足元が
おぼつかなくなっていた。
「だいじょぶ?」
「……よゆー……」
よくないことくらい、恵にもわかる。
それでも、
腕を肩に回しながら歩かせるようにして、
通りに出たところでタクシーを止めた。
「ほら、乗って」
「お、おう……」
達也をほとんど抱きかかえるようにして、
後部座席に押し込む。
ドアが閉まるのを確認してから、
恵は運転手に小さな声で告げた。
「すみません、
この辺のホテル街までお願いします」
達也の意識は、
半分以上アルコールの底に沈んでいた。
けれど、
窓の外で流れていくネオンを
ぼんやり眺めながら、
(……ああ、まただよ)
そのくらいのことだけは、
おぼろげに理解していた。
部屋のドアが閉まる瞬間までの道のりを、
彼はきっと、
あとからほとんど覚えていない。
ただ、
恵のほうは――
そこから先のすべてを、選ぶように進んでいった。