これはもはや事故です!

あれ?ちょっと良くなった?

 それから数日が経ち、美羽の足は目に見えて良くなっていた。
 腫れも引いて、歩くときの怖さも、ほとんどない。
 ……その分、別の意味で落ち着かなくなってきた。

(……あれ? これって……)

 美羽はリビングのソファで体育座りをしながら、そっと足首を回す。

(普通に動く。普通に歩ける。つまり……)

「……そろそろ、健康体……?」

 小さく呟いた瞬間、胸がツキンと痛む。

(ちょ、ちょっと待って。治る=帰る、ってこと?
 でも今さら帰る?……帰りたく、なくない?)

 頭の中で、ひとり会議が始まる。

(いやいや、居座るなんて、ずうずうしい。でも、完全に治ったわけじゃないし。
 ……もし治ってたら)

 考えがそこまで行ったところで、声が飛んできた。

「どうした?」

 キッチンからの磯崎の声に、美羽はびくっと肩を揺らす。

「……いえ、独り言です!」

 即答。
 自分でも分かるくらい、早すぎる返事だった。
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