これはもはや事故です!
 唇を重ねる。
 さっきより、少しだけ深く。
 確かめるように、間を置きながら。

 美羽の呼吸が乱れ、それに合わせて、磯崎の鼓動も速くなる。

 背中をなぞる手をそっと止める。
 ここから先は……美羽に選ばせたかった。

「……嫌じゃないか?」

 そう美羽に問いかけた。
 どんな答えでも、受け止めるつもりだった。

 けれど、美羽は何も言わなかった。
 代わりに、そっと顔を上げて、もう一度、唇に触れてくる。

 不器用で、でも真っ直ぐな意思表示に、理性が吹き飛ぶ。

 覚悟を決めて、彼女を抱き寄せた。
 今度は、逃げ場を残さないように。

 啄むようなキスを繰り返し、美羽の心をほぐしていく。
 急がない。
 置いていかない。

 腕の中で、美羽が少しずつ力を抜いていくのが分かる。
 信じて、預けてくれている。

 それが、何よりも嬉しかった。

 (この先に進むことを選んだのは、二人の選択。
  だから、大切にする。今夜も、その先も。)
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