これはもはや事故です!

私は関係ありません!

そんな美羽をよそに、女二人の言い争いはヒートアップしていった。

「アンタみたいなブスお呼びじゃないのよ!」

「はぁ!?何言ってんのよこの女っ!!」

「二人とも、いいかげんにしろよ」

 怒号が響き、瞬間、長髪の女がショートボブの女の腕を掴む。

「離して!!」

「そっちこそ離れなさいよ!!」

 ドンッと音がした。
 次の瞬間、突き飛ばされたショートボブの女が、美羽の方へまっすぐ飛んできた。

「っ……え、ちょ、待って──」

 咄嗟の出来事に何もできず、ドーンと激突された衝撃で足がもつれ、美羽はそのまま地面に倒れ込んだ。

「きゃっ!!」

慣れないヒールのせいで踏ん張りが効かなかったのだ。
足首に鋭い痛みが走る。

「……っ、痛……!」

 思わず地面に手をついた。けど、足首がじんじん熱い。

「何やってんのよアンタ!邪魔しないでよ!」

「わ、私!?ちょ……っ!」

 痛みで言葉が続かない。

(なに……これ……なんで私が……)

 そんな混乱の中。

「美羽さん!?」

 低く強い声が飛び込んできた。

 次の瞬間、温かい腕が美羽の肩を支えていた。

< 4 / 15 >

この作品をシェア

pagetop