夫のいない間に
「そっかぁ。三年前、そうであったら良かったのになぁ……」

軽くそう言って、 井戸端さんはマスターに烏龍茶を頼んでいた。

三年前。
37歳と40歳では、そんなに女は違うのだろうか?

少しだけプライドが傷ついたのを隠すように、私は、別の話を振った。


その夜。
私と井戸端さんは、他愛もない世間話をして終わった。


ただ、最後に、

「旦那さん、もしかしたら、死ぬ気じゃないんですかね」


井戸端さんがタクシーの中で言った言葉は、私の酔いを醒めさせた。


――死ぬ?


あの人が?


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