夫のいない間に
 「今日、友達と天神に行くから小遣いちょうだい」

 「学校の皆と飲み会なの、前借りさせて。働いたら返すから」


 子供たちは、私が家のお金を管理していると気が付いたのか、何かと理由をつけて金銭を要求してくるようになった。
 夫が居なくなって一週間。
 ほぼ毎夜、出掛けてる。

 まだ学生の分際で遊び過ぎではないか。


 「お父さんが居ないからって、羽目外し過ぎなんじゃないの?」

 小遣いを渡しつつ、一応注意をする。

 「そんなことないって。ずっと抑制かけられてたのに。お父さんは自分は飲み会とかゴルフばっかり行ってたし、たまには良くねぇ?」

  抑制……。

  金銭的に抑圧をかけられていると感じていたのは私だけではなかったようだ。


 「お母さんも、珍しく夜に出掛けてたじゃん、お父さんが居ない時くらい羽伸ばそうよ」

 特に娘に関しては、夜の外出は渋る傾向にあった夫。


 「……そうね」

 私達は、夫の所有物ではない。

 ましてや、生活費を稼ぐ家政婦でもない。

 夫が 一人で長旅に出掛けてる間に、私だけがあくせく働くのは不平等ではないか。

 私は、膝の痛みを理由に、会社を暫く休むことにした。



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