夫のいない間に
 仕事も行かず、家事も手を抜きまくると、私にはすることがなかった。
 犬の散歩も、会社の人に見られると休みの理由が成立しないので、夜にばかり行っている。

 念願の仮の専業主婦になったのに、たいして優雅でもない。

 時間はあるのに、アクティブに動けない。
 動く理由もない。

  ″独り ″ は、むしろ自由ではなかった。





「吉岡さん、先週の境内の草むしり、行かなかったでしょう? その罰金の集金に今からお伺いしますね」

「スミマセン……」

 町内会の班長さんから電話がかかってきて、千円を用意する。

 夫は、家の事も学校行事も全く手伝わないけれど、建前や世間体は酷く気にするので、こういうのだけは出てくれていた。

 今、思うと。
 過大評価かもしれないけど。
 私の性格を踏まえて、″吉岡家 ″が社会から孤立しないように、あの人なりに努力していたのではないか。


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